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フリーランス在宅翻訳者に家内労働者の特例は適用されるか?

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翻訳者の確定申告

「家内労働者等の必要経費の特例」というものがあり、実際にかかった経費の額が55万円未満のときであっても、収入から差し引く経費を55万円と見なして所得の計算を行うことができます(令和元年分以前は65万円でした)。

翻訳の仕事はあまり経費がかかりません。経費で比較的大きいのはパソコンや翻訳ツール、辞書くらいです。自宅に専用の部屋がある場合には家賃や電気代などの一部を計上できますが、面積で按分すると大きくはありません。

そのため、私のようにこれを利用できれば節税できるケースは多いと思われます。

しかしそもそも、この制度はフリーランスの在宅翻訳者にも適用されるのでしょうか?

この特例の詳細については、国税庁の次のページで解説されています。

No.1810 家内労働者等の必要経費の特例|国税庁

ここに、次の記載があります。

家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。

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在宅翻訳者は家内労働者か?

在宅翻訳者が該当しそうなのは、「特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」という部分です。ここで疑問に感じたのは次の点です。

  • 翻訳というサービス(人的役務)を翻訳会社に提供する場合は、この対象になるのか?
  • 翻訳会社は複数でも問題ないのか?

税務署に電話確認した結果と疑問

気になったので、最寄りの税務署に電話で確認してみました。

すると、「在宅翻訳者も対象になる」との回答を得ることができました。

しかし、追加質問で「複数の翻訳会社から報酬を受けていても問題ないか」を確認したところ、返答は「1社でないとダメ」とのことでした。※

私は複数の翻訳会社から報酬を受けているので、対象外ということになります。果たして本当にそうなるのでしょうか。

※コメント欄で情報提供いただいたように、複数でも問題ないと回答されるケースもあります。

ダメと言われても適用可能だと思う根拠

以下によると、税理士の方が、複数でも問題ないとの回答をしています。

複数のクライアントであっても、取引先が特定している場合は、特定の者に該当します。

参考)税理士ドットコム「家内労働者等の必要経費の特例の適用について」

また、このほかにも、税務署に確認した人が同様に複数でも問題ないとの回答を得ています。

参考)naelog「扶養内で働く…?在宅ワークの場合? (5) 家内労働者等の必要経費の特例、追記」

調べていると税理士の方でも「1社でないとダメ」と書いていることもありますが、さらに調査していると決定的と思われる回答を見つけました。

大蔵財務協会発行の『回答事例による所得税質疑応答集〈平成22年2月改訂〉』の P.729 に「特定」の定義が解説されているようなのです。

これによると、「特定の人」とは「不特定多数」ではないという意味で、単数か複数かは問題ではないとのこと。

大蔵財務協会は大蔵大臣の許可を受けて設立された公益法人なので、この見解は信頼できそうです。

私の場合、電話した相手がたまたま勘違いしていただけなのでしょう。

『あらゆる領収書は経費で落とせる』 (中公新書ラクレ)という本で知ったのですが、税務署職員であっても無知で適当に指導していることはよくあるそうです。

そういうわけで、複数の翻訳会社から仕事を受けている場合でも家内労働者の特例は受けられる、と私は解釈することにしました。

あくまで私の場合の素人による個人的判断ですので、個別のケースで該当するかどうかは税務署や税理士の方にご確認ください。クラウドワークスやランサーズを通じて翻訳する場合はどうなのかなどは私もわかりません。

実際に申告してみた結果

参考までに、私は実際、この特例を利用して電話先の税務署に確定申告書を提出し、さらに過去数年分の更正の請求を行いましたが、請求はそのまま認められています。

この結果、所得税のみならず住民税、国民健康保険税、保育料なども還付されることになり、〇〇万円の還付金を受け取ることができました。

家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例を受ける方法

この特例を受ける具体的な方法については、国税庁による次の PDF ファイルの 2 ページ目に詳しく書かれています。やや小難しいことが書かれていますが、青色申告決算書や確定申告書を作成する際にこれをよく読めば、さまざまなケースに対応できるはずです。

この制度を活用すると、在宅のフリーランス翻訳者は収入から200万円くらい少ない額を所得として申告することができます。詳細は次のとおりです。

フリーランス翻訳者の節税法:収入から200万円以上を差し引く方法
収入から経費を差し引いた所得金額から各種控除金額を差し引くと、課税所得が計算されます。あまり知られていないのですが、フリーランス翻訳者は、合法的な手段で収入から200万円以上を差し引くことができます。200万円の内訳は以下のとおりです。 経

参考 フリーランス在宅翻訳者の確定申告【節税の裏技】

以上の情報は令和元年分までの税制に基づいています。令和2年分からは、制度が少し変わるのでご注意ください。

令和2年分の確定申告の変更に備えて今から準備すべきこと

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コメント

  1. an より:

    税務署の方に電話で確認をとりましたがOKと言われましたよ。
    契約を結んで、仕事をくれる翻訳会社が10〜20社あっても大丈夫かと確認しましたが、ホームページなどを作って不特定多数から仕事を受け付けていなければOKとの回答でした。
    担当者によって回答が変わると言う話はよく聞きますね。

    • trans-m より:

      情報提供ありがとうございます。
      いろいろな事例を見ても該当すると思われるため、私が問い合わせた担当者がたまたま誤解していたのだろうと理解しています。
      もう何年もこの制度を使用して申告していますが、指摘されたことはありません。

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