フリーランス在宅翻訳者の確定申告【節税の裏技】

フリーランス在宅翻訳者の確定申告に関する情報(確定申告の必要性、確定申告書の作り方、節税策など)をまとめました。

通常、翻訳会社から受け取る報酬からは約 10% の税金が源泉徴収されています。本来、翻訳者が支払うべき所得税を、翻訳会社が代わりに税務署に納付しているわけです。

翻訳者は、条件に該当する場合には確定申告を行う必要があり、確定申告を行うことによって、多くの場合、源泉徴収された税金を取り戻すことができます(還付金)。

参考 翻訳で収入を得られるようになったら必要な税の手続きと注意点

また、後半で紹介する合法的な節税方法によって課税所得を少なく申告すると、所得税だけでなく、住民税、健康保険料なども安く抑えることができます。

フリーランス翻訳者が支払う税金の種類

フリーランスが事業に関連して支払う税金には、所得税、住民税などがあります。課税売上金額が 1,000 万円を超える場合は、消費税も納める必要があります。地方税の一種である個人事業税は、ほとんどの場合は課税対象外ですが、鳥取県は課税対象になるという情報もあり、自治体によって解釈が異なるようです(参考)。

住民税や健康保険税は、所得税の確定申告を行うことで自動的に計算されます。

このため、税に関して多くの翻訳者が毎年やるべきことは、所得税の確定申告のみとなります。

所得の種類

翻訳会社から受け取る報酬は、事業所得、給与所得、雑所得のいずれかになります。

事業所得

営んでいる事業から生ずる所得は事業所得です。フリーランスの在宅翻訳者は、ほとんどの場合、これに該当し、確定申告を行う必要があります。

給与所得

会社の社員として雇用契約を結び、給与として翻訳の報酬を受け取っている場合は、給与所得に該当します。派遣会社経由の仕事も、給与所得です。この場合、年末調整を行えば、ほとんどの場合、確定申告は必要ありません。事業所得とは別に給与所得を受け取ることも可能で、この場合、青色申告特別控除と給与所得控除の両方を受けることができます。ただし、フリーランス翻訳者が給与所得控除も受けるとなると、後述する「家内労働者などの必要経費の特例」は減額されるか、受けられなくなります。

雑所得

事業を営んでいるというほどでもない、ちょっとした翻訳の収入は、雑所得になります。給与所得者が副業で翻訳の仕事をする場合などに該当します。給与所得者の副業として翻訳を行う場合、雑所得を含む、給与所得以外の各種所得(収入から経費を引いた額)の合計が20万円を超えると、確定申告が必要になります。

微妙なケースについては、税務署に問い合わせるのが確実です。

確定申告が必要なケース

会社に属していないフリーランス翻訳者は個人事業主となります。給与所得者と異なり、確定申告が必要です。確定申告が必要な条件の詳細については、次の国税庁のページや以下の参考記事をご覧ください。

確定申告が必要な方|国税庁

参考 翻訳収入に対して確定申告が必要かどうか

青色申告と白色申告

個人事業主として所得を申告する方法には、青色申告と白色申告の 2 種類があります。簡単でテキトーでよいのが白色申告、面倒だけどメリットがあるのが青色申告です。

白色申告はテキトーでよいと言っても、記帳と帳簿の保存義務があることには変わりありません。

青色申告では、あらかじめ各種書類を提出し、複式簿記で帳簿を付け、書類を保存する必要がありますが、最大65万円の青色申告特別控除を受けられるなどのメリットがあります。少し勉強すればそれほど難しいことではないので、時間が取れる場合には青色申告がお勧めです。

No.2070 青色申告制度|国税庁

確定申告書の作成方法

確定申告書を作成する方法はさまざまです。会計事務所に依頼したり、会計ソフトを利用したりする方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。詳細は次の記事で説明しています。

フリーランス翻訳者が確定申告書を作成する3つの方法【税理士・会計ソフト・作成コーナー】
フリーランス翻訳者は、ほとんどの場合、確定申告を行う必要があります。青色申告と白色申告があり、どちらも帳簿を付ける必要がありますが、せっかくなら青色申告を利用した方が多くのメリットが受けられます。 それでは、青色申告の税務を行うにはど...

確定申告で節税する方法

個人事業主にできる節税策は多くはありませんが、知っているかどうかだけで大きな差が出る制度もあるので、私が知っている範囲で紹介します。

「家内労働者の必要経費の特例」を利用する

以下に紹介する方法により、見かけ上の課税所得を少なくして税金を減らすことができます。

フリーランス翻訳者の節税法:収入から200万円以上を差し引く方法
収入から経費を差し引いた所得金額から各種控除金額を差し引くと、課税所得が計算されます。あまり知られていないのですが、フリーランス翻訳者は、合法的な手段で収入から200万円以上を差し引くことができます。200万円の内訳は以下のとおりです。 ...

この方法に疑問がある人のために、根拠を確認した詳細を以下の記事で説明しています。

フリーランス在宅翻訳者に家内労働者の特例は適用されるか?
「家内労働者等の必要経費の特例」というものがあり、実際にかかった経費の額が65万円未満のときであっても、収入から差し引く経費を65万円と見なして所得の計算を行うことができます。 翻訳の仕事はあまり経費がかかりません。経費で比較的大きい...

事業所得+給与所得は節税になる?

個人事業主が同じ年度に給与所得も受け取る場合、各種控除の扱いはどうなるのでしょうか。

フリーランスで事業所得+給与所得は節税になるか
青色申告を利用している個人事業主は、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。一方、給与所得者は、給与の収入金額に応じて65万円以上の給与所得を受けることができます。それでは、個人事業主がバイトや派遣で給与を得た場合はどうなるの...

節税の注意点

上記の方法で事業所得を減らすと、住宅ローンなどを申請する際の所得金額も少なくなり、借入可能額が少なくなる可能性があります。詳細は次の記事をご覧ください。

フリーランス在宅翻訳者の厳しい住宅ローン事情
自営業者は給与所得者と比べ、信用がありません。住宅ローンを組むときには、金融機関にもよりますが、3年以上事業を継続している必要があるなど、いろいろと制約があります。私の場合は共働きの妻の給与収入がそれなりにあったため何とかなりましたが、多く...

個人事業主が使える一般的な節税策を利用する

なお、個人事業主の場合、一般的な節税策も利用できます。

小規模企業共済:自由度の高い掛け金の全額を所得控除の対象にできる制度です。毎年貯金できる利益が出ていて、課税対象所得がある場合にはとても便利な節税策になります。iDeCo とも併用できますが、こちらのほうがメリットが大きいので個人事業主はまず小規模企業共済をフル活用することをお勧めします。詳細は以下のページをご覧ください。

独立行政法人 中小企業基盤整備機構
中小機構は、中小企業政策の実施機関として、成長ステージや経営課題に応じた支援メニューで中小企業の成長をサポートします。

ふるさと納税:実質負担 2,000 円で地域の返礼品を受け取れる制度です。自営業者の控除上限額は以下のページから算出できます。

https://www.satofull.jp/static/limit.php

実は確定申告期間より早い申告が可能

フリーランス翻訳者の確定申告は、ほとんどの場合、還付申告になります。この場合、確定申告期間によらず1月1日から可能です。

フリーランス翻訳者の確定申告(還付申告)は1月1日から可能
所得税の確定申告期間は、通常、2月半ば~3月半ばです。しかし、フリーランス翻訳者はそれより早く申告できるかもしれません。 フリーランス翻訳者は還付申告 フリーランス翻訳者にとって、確定申告の還付金はボーナスのようなものです。翻訳会社から...
以上の情報は令和元年分までの税制に基づいています。令和2年分からは、制度が少し変わるのでご注意ください。

令和2年分の確定申告の変更に備えて今から準備すべきこと

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