フリーランス翻訳者になるためには何をすればよいのでしょうか。
翻訳会社が登録翻訳者に求めていることは、求人情報を見ればわかります。
翻訳者の募集条件
どこの翻訳会社も優秀な翻訳者は常に手元に確保しておきたいため、常時募集をかけているところがほとんどです。
次のサイトなどで募集条件を見ると、たいていの翻訳会社は翻訳経験〇年以上を応募条件としています。
これだけでは未経験者が経験を積む余地がありませんが、根気よく探すと未経験者可の会社もあります。
その条件を見ると、TOEIC 900 以上とか、TRADOS を使える方とか、自社の翻訳学校を卒業した方といった条件とともに、トライアルに合格した方という条件が付きます。
つまり、翻訳者になるためには、経験がなくても、高いスキルがあれば採用される可能性があるのです。
翻訳者のスキル
翻訳者に必要なスキルについては以前「英語力だけでは翻訳者にはなれない」に書いたとおりです。
英語ができる人は何億人でもいるので、翻訳に必要な最低限の語学力を身につけたうえで、それ以外の、専門分野や日本語力、PC スキルなどを身につけることが差別化につながります。
それぞれについて、自分に足りないものは何かを客観的に見つめ直し、習得することが翻訳者になる近道です。
しかしながら、トライアルに合格して翻訳者として登録されても、いきなり仕事が回ってくるわけではありません。未経験者に任せられる仕事はなかなかないため、コツコツと実績を重ねて実力を証明していく必要があります。これには時間がかかります。
未経験者がいきなりフリーランス翻訳者を目指すことはお勧めできません。それは「私がフリーランス在宅翻訳者になるまでの経緯」で書いたように、私の失敗から言えることです。何らかの形で翻訳の経験を積んでいくほうが良いでしょう。
未経験者が翻訳経験を積む方法
翻訳経験を積む方法はいくつもあります。
低報酬でも翻訳する
ボランティアや低単価で翻訳を行うことは敷居が低いので、翻訳学習者でも簡単に経験を積むことができます。各種 Wiki の翻訳に協力したり、次のようなクラウドソーシングで仕事を見つけることもできます。

しかしこの方法はお勧めできません。翻訳についてフィードバックが得られることが少なく、プロとして必要な本当の経験が身に付かないからです。
翻訳会社に入る
お勧めは、翻訳会社に入ることです。面倒見の良い会社の場合、社内翻訳者として入ることはフリーランス翻訳者として仕事を受けるよりも敷居が低く、多くのことを学ぶ機会が得られます。
社内翻訳者が難しい場合、社内チェッカー(校閲者)もお勧めです。チェッカーの仕事とは、翻訳者の納品物を確認し、翻訳指示が守られているか、誤りがないかをチェックして修正することです。複数の翻訳者がかかわるプロジェクトでは訳文や訳語、スタイルを統一する作業も必要になります。疑問点があれば翻訳会社で情報共有したり発注者に報告したりすることもあります。
この仕事では、第一線で活躍しているプロ翻訳者の訳文を原文と突き合わせて大量に読み込むことができます。翻訳者もチェッカーも作業の流れはほとんど同じなので、ツールの操作や実際の翻訳指示を読む経験も積むことができます。また、何かわからないことがあれば、すぐに他の人に聞くことができます。この経験は、フリーランス翻訳者になるうえでも大きな糧になります。
正社員として採用されないと多くの収入は望めませんが、翻訳学校では出費になるものが収益になります。仕事なので責任も伴いますが、そのぶん、短期間で効率よく経験を積むことができます。
また、その経歴はフリーランス翻訳者と応募する際にも必ずプラスの要素として考慮されるはずです。就職先の翻訳会社に実力を認められれば、そこの翻訳者になることも可能です。
翻訳学校に入る
最初に少し触れたように、翻訳会社の翻訳学校に入ることも翻訳者になるルートとして考えられます。卒業すれば、その翻訳会社の翻訳者になれる可能性もあります。
しかし、この方法もあまりお勧めできません。お金と時間が余っている方には適しているかもしれませんが、そう甘くない現実もあります。このことについては、今度別の記事で書きたいと思います。