雑所得のある家内労働者特例の計算に関するメモ | 翻訳メシ
スポンサーリンク

雑所得のある家内労働者特例の計算に関するメモ

※当サイトは、商品またはサービスの紹介・適格販売により収入を得るアフィリエイトプログラム(Amazonアソシエイトなど)に参加しています。詳細...

翻訳者の確定申告

私はフリーランス翻訳者で、経費が少ないため、「家内労働者等の必要経費の特例」を利用して自分で確定申告を行っています。家内労働者等の必要経費の特例の詳細や、計算書のリンクについては国税庁の次のページをご覧ください。

No.1810 家内労働者等の必要経費の特例|国税庁

条件に合う人がこの計算書を利用すると、事業所得や雑所得の額を実際より少ない額として計算できるため、節税になります。しかし、この計算書には条件分岐がいくつもあり、その計算の意味は理解しにくいところがあります。

事業所得のみの場合はシンプルですが、給与所得がある場合、給与所得控除と併用できないよう相殺されるようになっていたりします。特に複雑なのは、事業所得と雑所得がある場合です。

私の場合、給与所得がゼロで、事業所得と雑所得の両方があります。これまで、雑所得(副業所得)が増えるに従って、以下の条件の両方を経験しました。その際の計算に関する注意事項などを、ここにメモとして残しておきたいと思います。

スポンサーリンク

「雑所得の総収入」が「55万-事業の実際の経費」以下の場合

この場合、計算書の計算に従うと、事業の経費は「55万-雑所得の総収入」と見なすことができます。雑所得の特例上の経費は「雑所得の総収入」となるため、雑所得の所得額(総収入-特例の経費)は実質ゼロと見なすことができます。

詳しく…

雑所得の経費は「55万-事業の実際の経費」と「雑所得の総収入」のいずれか少ない方の金額になりますが、見出しの条件に書いてあるとおり、「雑所得の総収入」は「55万-事業の実際の経費」以下なので、雑所得の経費は「雑所得の総収入」と見なせることになります。

こうすると、事業の実際の経費が55万円に満たない限り、経費の額の大小は納税額に影響しません。

雑所得(業務)の実際の経費に関しては、所得額の計算に使用されることすらありません。

このため、事業経費は記帳の必要はあっても、多少ミスがあっても納税額に影響しません。収入のみをきっちり申告しておけば問題ないということなので、素人の申告としては気がラクです。

細かい注意点としては、「雑所得の実際の所得額」が同じ場合、「雑所得の総収入金額」は少ないほうが有利(=事業の見なし経費を大きくできる)ということです。わかりにくいですが、具体的には仮想通貨(暗号資産)の取引には要注意かもしれません。

仮想通貨は売却額の合計がそのまま「雑所得の収入」としてカウントされるため、利益の大小にかかわらず、取引額が大きかったり、何度も売買を繰り返したりしていると、雑所得の総収入金額が大きくなりがちです。雑所得の利益(所得=収入-経費)が大きくない場合、家内労働者特例の恩恵が受けられなくなってしまうことになりかねません。

暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)|国税庁

家内労働者特例の計算書には、雑所得の「総収入金額」欄に、「公的年金等に係るものを除きます。」との注意書きがあり、「業務に係る雑所得」の総収入金額を記入するとは書かれていません。計算書のP2には、「業務又はその他(以下「業務等」といいます。)に係る雑所得の総収入金額」という記述があることから、素直に解釈すると、暗号資産に関する雑所得の収入もこれに含まれてしまうのではないでしょうか。

「雑所得の総収入」が「55万-事業の実際の経費」より多い場合

この場合、計算書の計算に従うと、事業の経費は「実際の事業の経費」となり、雑所得の経費は、「55万-事業の実際の経費」と見なすことができます。

詳しく…

雑所得の経費は「55万-事業の実際の経費」と「雑所得の総収入」のいずれか少ない方の金額になりますが、見出しの条件に書いてあるとおり、「雑所得の総収入」は「55万-事業の実際の経費」より多いので、雑所得の経費は「雑所得の総収入」と見なせることになります。

こうすると、事業の実際の経費の額の大小は、納税額に影響しません。事業の実経費が多くなる分、雑所得の見なし経費が少なくなるので、収入から経費を引いた所得額の合計は変わりません。逆もまた然りです(ただし、事業の実際の経費の大小によって、事業所得と雑所得のバランスは変わります)。

前述の暗号資産の問題については、雑所得の利益(所得=収入-経費)が「55万-事業の実際の経費」を超えている場合には、まったく問題ありません。超えていない場合は、その分、家内労働者特例の恩恵が受けられないかもしれません。

以上。

すべての経費が55万円に満たない場合、経費の申告に神経をとがらせる必要がなくなるというこの特例のメリットは、どんなときも受けられそうです。家事関連費の按分比をイジって少しでも経費を多くしようとしたり、それで問題ないかハラハラしたりすることもすべて無意味になるので、気楽です。

※この記事の執筆者は税の専門家でも何でもございません。正確な記事を書くよう努めておりますが、内容の正確性はご自身でご判断ください。

タイトルとURLをコピーしました