Amazon CEO ジェフ・ベゾス氏がお勧めする本のリストを紹介します。
ジェフ・ベゾス氏が勧めている本としては、氏が認めたベテラン記者によるノンフィクション『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(2013) で 12 冊の本が紹介されています。それに加えて、インタビュー、ツイートなどを含めると、現時点で計 26 冊の本が推薦されていることが判明しています。
参考 MOST RECOMMENDED BOOKS [英語]
- 2013 年までのジェフ・ベゾス氏推薦本
- 『データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標』(2010)
- 『ブラック・スワン: 不確実性とリスクの本質』ナシーム・ニコラス・タレブ(2007)
- 『Creation: Life and how to make it』(2001)
- 『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(2001)
- 『イノベーションのジレンマ』(1997)
- 『リーン・シンキング』(1996)
- 『会長からのメモ―機知とユーモアの経営』(1996)
- 『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(1994)
- 『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』(1992)
- 『日の名残り』カズオ・イシグロ(1989)
- 『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』(1984)
- 『人月の神話』(1975)
- ジェフ・ベゾス氏が経営幹部に読ませる本 3 つ
- その他のジェフ・ベゾス氏推薦本12冊
- 最後に
- 【追記】ジェフ・ベゾス氏本人の著書発売
2013 年までのジェフ・ベゾス氏推薦本
2013 年に出版された前出の本で紹介されていたのは、以下の 12 冊の本です(原典の出版年順)。
有名なビジネス書も多く、ほとんどで翻訳書が出版されています。
『データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標』(2010)
データに基づくマーケティングの本です。Amazon はデータを非常に重視し、活用していることで知られています。
『ブラック・スワン: 不確実性とリスクの本質』ナシーム・ニコラス・タレブ(2007)
「知の巨人」タレブのベストセラー本です。
上下巻に分かれています。
その後に発刊された以下の作品は特に言及されていませんが、どれも高く評価されており、読むべき本と思われます。
『Creation: Life and how to make it』(2001)
Creatures という人工生命ゲームを製作した科学者スティーヴ・グランド氏の本ですが、訳書はまだ出版されていません。Amazon Web Services(AWS)の誕生に影響を与えたようです。
残念ながら訳書は出ていないため、英語で読む必要があります。

なお、同著者はその後人工知能ロボットの開発に着手しており、それについて書かれた以下の本には日本語版があります。

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(2001)
ジム・コリンズ氏による定番のビジネス書です。シリーズもので今では5冊の本が出版されていますが、3までは、産業翻訳家として著名な故・山岡洋一先生による翻訳です。1と2が特に高く評価されています。
『イノベーションのジレンマ』(1997)
巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論書です。
『リーン・シンキング』(1996)
トヨタなどのリーン生産システムを解説した世界的なベストセラー本です。
『会長からのメモ―機知とユーモアの経営』(1996)
米証券会社ベアー・スターンズで CEO を務めたアラン・C. グリーン バーグ氏によるマネジメントの極意が読み取れるようです。現在は入手が困難になっています。
英語の Kindle 版であれば安価に読むことができ、それほど長くないのでお勧めです。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(1994)
前出のシリーズ第一作です。古典として高く評価されているビジネス本です。
『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』(1992)
全業界で売上高世界第1位となった小売業ウォルマートの創業者の本です。
『日の名残り』カズオ・イシグロ(1989)
2017年にノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人による小説です。
ベゾス氏は、ノンフィクションよりも小説から多くのことを学んだといいます。
『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』(1984)
日本語版が解禁された 2001 年頃に日本でもベストセラーになった小説風のビジネス書です。私も読みましたが、分厚い割に読みやすく、いまでも要点が頭に残っています。
『人月の神話』(1975)
ソフトウェア開発の定番書です。古い本ですが、現代にも通じるものがあるのでしょう。
ジェフ・ベゾス氏が経営幹部に読ませる本 3 つ
ジェフ・ベゾス氏は、2013 年に行われた CNBC のインタビューで、Amazon の経営幹部に読ませる本を 3 冊紹介しています。
そのうちの 1 冊は、前出の『ザ・ゴール』ですが、他の 2 冊は以下のとおりです。
『経営者の条件』ドラッカー(1966)
日本でも人気のドラッカーが経営幹部の心得を説いた古典的名作です。
『イノベーションへの解』(2003)
前出の『イノベーションのジレンマ』の続編で、前作は理論が中心でしたが、本書はより実践的な内容となっているようです。
その他のジェフ・ベゾス氏推薦本12冊
ここまではよく紹介されていますが、その他にも以下の本が推薦されています。
『小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード』(2010)
常識にとらわれない新時代のビジネスルールについての本です。いま読んでいるところですが、直感的にわかりやすく、実際に成功している人が書いているので説得力があります。
『エクセレント・カンパニー』で有名なトム・ピーターズ氏も推薦しています。
『デューン 砂の惑星』(1965)
映画化もされているSF小説です。ジェフ・ベゾス氏だけでなく、テスラのイーロン・マスク氏も推薦しています。上中下巻に分かれています。
イアン・M・バンクスの The Culture シリーズ
ジェフ・ベゾス氏が「a huge personal favorite」とツイートしているこのシリーズは、宇宙を舞台としたSF小説の傑作です。
興味深いことに、テスラのイーロン・マスク氏、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏もこの作品を推薦しています。
このシリーズの作品は現在、以下の 10 作です。
『Consider Phlebas』(1987)
『The Player Of Games』(1988)
『Use of Weapons』(1990)
『The State Of The Art』(1991)
『Excession』(1996)
『Inversions』(1998)
『Look To Windward』(2000)
『Matter』(2008)
『Surface Detail』(2010)
『The Hydrogen Sonata』(2012)
残念ながら日本語版が出ているのは 2 作目の以下だけで、現在は入手が困難になっています。
ただ、2018 年にアマゾン・スタジオが 1 作目からシリーズの映像化に着手したとのことなので、いつか Amazon プライム・ビデオで見られる日が来るのではないでしょうか。
現在、日本語で容易に入手できる同著者の作品はデビュー作の『蜂工場』だけですが、レビューを見るとこれもまた傑作のようです。
『盲目の時計職人』リチャード・ドーキンス
ジェフ・ベゾスは2021年、CEOを退任する前に株主に宛てた最後の手紙のなかで、次の本の一部を引用しています。リチャード・ドーキンスといえば『利己的な遺伝子 40周年記念版』が有名であり、私も読んだことがありますが、氏の緻密な進化論を学び、影響を受けていたことが窺えます。
最後に
近年成長の著しい GAFA ですが、そのビジネスモデルは真似しようと思っても難しい企業ばかりです。しかしながら、Amazon だけは、あらゆるモノやサービスを売る企業として、多くのビジネスの参考にできるヒントが何か見つかるのではないか。
そう思って私はアマゾンジャパン元経営会議メンバーの著書による『amazonの絶対思考』という本を読んだのですが、そこで書かれていたことは特に珍しいことではなく、ビジネスの基本ともいえることばかりでした。
やはり、基本をとことん実践することは結果の出る王道のやり方なのでしょう。
これらについてより深く学ぶには、その原典を読むのが近道です。そこでひとまず、ジェフ・ベゾス氏が読んできた本をまとめてみたわけです。
いくつかは読んだことのある本でしたが、まだ読んでいない本もあり、どれも今後のビジネスに役立ちそうな本ばかりです。今後も勉強を続けたいと思います。
【追記】ジェフ・ベゾス氏本人の著書発売
2021年12月に、ジェフ・ベゾス氏本人による初めての本が発売されました。
過去には発表されたスピーチや株主向けのレターが中心なので、昔からジェフ・ベゾス氏に注目してきた方には物足りない内容かもしれませんが、そうでない方にはお勧めの内容です。