インフレやインボイス制度の開始、社会保険料の負担増などにより、フリーランス翻訳者の生活は楽観できません。近年の産業翻訳業界は、コロナ禍を経て、AI の台頭もあり、大きく変化しているような気がします。ところが、私のような末端のフリーランス翻訳者にとって、翻訳業界の変化を把握することは困難です。
ここ数年の体感としては、なんとなく、
- 仕事の量は変わらない
- 翻訳単価も変わらない
- 機械翻訳(MT)利用は増えている
というような感覚はありますが、翻訳業界全体としてどうなのかの大局は見えていません。
少し仕事が空くと、いろいろと不安がよぎりますが、それが個人的な仕事の質の問題なのか、翻訳業界の変化による影響なのかは見当が付きません。
今後、翻訳の仕事は増えるのかどうか、翻訳単価を上げる余地があるのかどうか、どのような分野の翻訳需要が伸びているのかといったことは、自分から情報を取りにいかないとわかりません。
そこでまず、数年ぶりに翻訳業界誌をチェックしてみることにしました。
翻訳業界誌といえば、主にこれから翻訳者を目指す人向けの雑誌ですが、イカロス出版か、アルクの翻訳事典が有名です。
久々にチェックすると、出版業界も厳しいのか、気づけばこれらの雑誌の発行頻度も低下しています。
業界の最新情報を知るために私が購入したのは、『通訳者・翻訳者になる本2024』です。
半分は通訳者向けで、半分の翻訳者向けの情報のうち、産業翻訳の記事はわずかです。
それでも、近年に多数の翻訳会社にアンケートをとった結果などは、非常に参考になりました。
翻訳単価の分布、分野別の動向など、まさに求めていた情報があります。
ここに内容を紹介することはできませんが、全体的な感想としては、意外と変わっていないと思いました。
それでも思ったのは、ときどきはチェックしておくべきだということです。
今後の身の振り方を考えるのに役立ちます。
雑誌にしてはやや高めですが、読後にメルカリなどで売ればあまりコストはかかりません。
これから翻訳者を目指す方だけでなく、翻訳者の方にもお勧めです。
なお、イカロス出版からは『産業翻訳パーフェクトガイド』というムック本も数年おきに出版されています。現時点の最新刊は 2023年10月で、通訳者の情報がない分だけ情報量が多いので、こちらもチェックしてみてください。